愛することを理解するため、2020年出版のエーリック・フロム著 改訳・新装版「愛するということ」を解説しています.
今回のテーマは
【愛は与えるもの】
愛とは愛を生む力.
愛は与えるもので、愛をもらうものではないです!
愛を学んで愛し愛され上手になっていきましょう♪
↓ 愛は落ちるものではないことを解説しています!
⑤ 【愛は落ちるものはない】を解説
愛の理論 【 愛は与えるもの 】 解説
前回、愛は能動的な活動で、「落ちる」ものではなく、「みずから踏み込む」のもので、愛をもらうことではなく与えること!と解説しました.
まず「与える」について、解説していきます!
与えるについて
【与える】とは、 goo辞書ではこのように書かれています.
- 自分の所有物を他の人に渡して、その人の物とする。現在では、恩恵的な意味で目下の者に授ける場合に多く用いる。
- 相手のためになるものを提供する。
- ある人の判断で人に何かをさせる。
- 影響を及ぼす
【与える】の意味は、1のイメージが一般的に強いと考えます.
与えた結果の思い込みとして、何かを「あきらめる」こと、はぎとられる、 犠牲にすることを感じてしまいます.
本では、与えることに対する思い込みはその人の性格が影響すると書かれています.
与えることをマイナスに捉える性格
性格がまだ【受け取り、利用し、貯めこむという段階】にある人は、与えることをマイナスに考えます.
- 商人的性格
喜んで与えるが、見返りがないと騙されたと感じる - 非生産的な性格
与えると貧しくなる.だから与えない - 与えることは犠牲を払うことで美徳と考える人
与えることは苦痛、犠牲を甘んじて受けることは美徳.
⇒喜びより剥奪に耐えるほうがよい
与えることをプラスに捉える性格の人
与えることは自分の生命力の行動表現であると考えます.
このように考える人の思考の流れを表にしました.
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自分のもてる力と豊かさを実感する
▽
自分の生命力と能力の高まりに喜びを感じる
▽
自分の生命力にあふれ、惜しみなく与える行為をする
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生き生きしているのを実感
▽
自分の持っている力の最も高度な表現と考える
物質世界で与えること
物質世界、つまりお金や物を中心とした世界では、気前よく与えることができる人が豊かな人となります.
沢山もっている人ではなく、沢山与える人が豊かなのです.
ひたすら貯めこみ、何かひとつでも失うことを恐れる人は、物を所有していても心理学的に貧しい人となります.また、生きる最低限必要な物しかない人は、与えることができず卑屈になります.
2者とも、上の表の【与える喜び】を感じることができないから貧しい人と表わされれます.
人間的な与えること
人は、他人に物質ではなく 【 自分自身、自分の一番大切なもの、自分の生命 】を与えることができます.
自分の喜び、興味、理解、知識、ユーモア、悲しみ‥など、自分のなかに息づいているもの全てを他人に与えます.これは、決して他人のために自分の生命を犠牲にすることではありません.
愛を与える
与えることは、他人も与える人にします.
与えること自体がこの上ない喜びとなり、与えられた他人の中に何かが生まれ、その生まれた何かが与えた人に跳ね返って帰ってきます.
▽
他人を豊かにする
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自分を活気づける
▽
他人を活気づける
▽
お互いに相手の中に芽生えさせた喜びを分かち合う
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たがいのために生まれた生命に感謝する
愛は愛と、信頼は信頼としか交換できない.
人々に影響を及ぼしたいのなら、影響を与えられる人間でなければならない.
関わり方全て、自分の意志の対象にとって、ふさわしい、君の現実の個人としての生の明確な表出でなければならない.
人を愛しても、その人の心に愛が生まれなかったとしたら、つまり、自分の愛が愛を生まないようなものだったら、また愛する者として生の表出によっても、愛される人間になれなかったとしたらその愛は無力であり不幸である
│マルクスより
自分の中にある人間的な力を信じ、目標達成のために自分の力に頼ろうとする勇気(愛する勇気)を獲得していることが大切です.
まとめ
人は、まず相手に与えることで、相手の中に何かを芽生えさせ、相手も芽生えた何かを与えます.
お互いに相手の中に芽生えさせた喜びを分かち合います.人間的なものを与えることは,お互いに何かを生み出すこととなります.
愛は与えるもので愛をもらうものではないのです!
この記事は要約で本の内容を端折っています.
ご興味がある方は書籍を読まれることをおススメいたします.
エーリック・フロム著:愛するということ
最後まで読んでいただきありがとうございます.