長かったこの旅も、いよいよ今日が最終回です。
これまで私たちは、感情の波に飲まれないためのレッスンを、一歩ずつ進めてきました。
- 【第1回】では「内観」で心のザワつきの根本原因を探り、
- 【第2回】では「感情ログ」で日々の心の天気を可視化し、
- 【第3回】では「感情ジャーナリング」でネガティブな感情
を安全に手放す方法を学びました。
きっとあなたはもう、以前のように理由もなく感情に振り回されるのではなく、自分の心の状態を客観的に見つめ、対処することができるようになっているはずです。
しかし、このレッスンのゴールは、ただ不機嫌にならないように「守る」ことだけではありません。
私たちの本当の目的は、積極的に「ごきげん」な状態を自分で創り出し、感情を人生の「最高の味方」につけることです。
最終回となる今回のテーマは、「感情の変換」。
ネガティブな感情が湧き上がってきた時に、それをただ手放すだけでなく、まるで魔法のようにポジティブなエネルギーに変えてしまう「自己対話」の技術についてお伝えします。
この記事を読み終える頃には、あなたは感情の波をただ乗りこなすだけでなく、その波の力を借りて、望む未来へと軽やかに進んでいくための羅針盤を手にしているでしょう。
さあ、あなたの人生の主導権を完全に取り戻すための、最後のレッスンを始めましょう。
もう戦わない。ネガティブな感情は「あなただけのメッセンジャー」
私たちはつい、「怒り」「不安」「嫉妬」といったネガティブな感情を、人生から排除すべき「悪者」や「敵」だと思ってしまいがちです。
しかし、もし、その感情たちが、あなたを苦しめるためではなく、大切な何かを知らせるためにやってきた「メッセンジャー(配達員)」だとしたら、どうでしょうか?
- 「怒り」は、
「あなたが大切にしているものが、傷つけられていますよ!」と知らせる、
情熱的なメッセンジャー。 - 「不安」は、
「そろそろ準備が必要ですよ!見落としていることはありませんか?」と知らせる、
慎重なメッセンジャー。 - 「嫉妬」は、
「あなたも、本当はそっち側に行きたいんですよね?」と、あなたの隠れた願望を知らせる、
正直なメッセンジャー。
そう、ネガティブな感情は、それ自体が問題なのではありません。
問題なのは、そのメッセージを正しく受け取れず、感情の勢いそのものに飲み込まれてしまうことなのです。
感情を「味方」に変える魔法の技術「リフレーミング」
では、どうすれば感情からのメッセージを正しく受け取り、ポジティブな力に変換できるのでしょうか?
そのための鍵となるのが、心理学のテクニックでもある「リフレーミング(Reframing)」です。
リフレーミングとは、物事を見ている「枠組み(フレーム)」を意識的に変えることで、その出来事の意味付けをポジティブなものに変えてしまうこと。
例えば、「コップに半分の水」を見て、「もう半分しかない(欠乏のフレーム)」と捉えるか、「まだ半分もある(豊かさのフレーム)」と捉えるか。
出来事は同じでも、フレームを変えるだけで、気持ちが大きく変わりますよね。
これを、自分自身の感情に対して応用していくのが、今回ご紹介する「自己対話によるリフレーミング術」です。
心が軽くなる!3つの自己対話リフレーミング術
ここからは、具体的な3つのリフレーミング術を、自己対話の形式でご紹介します。
ネガティブな感情が湧いてきた時、心の中で、あるいはジャーナリングで、この問いかけを自分自身にしてみてください。
リフレーミング術①:「〜のおかげで」と“学び”に変換する
これは、起きてしまった出来事や、それによって生まれた感情の「ポジティブな側面」を強制的に見つけ出す魔法の言葉です。
【自己対話の例:仕事でミスをして、ひどく落ち込んでいる時】
問いかけ:
「このミスをした『おかげで』、学べたことは何だろう?」
答えの例:
「このミスのおかげで、自分のチェック体制の甘さに気づけた。
次からは二重チェックを徹底しよう。
おかげで、将来的にもっと大きな失敗を防げるようになった。
これは、成長のチャンスだったんだ」
リフレーミング術②:「本当はどうしたかった?」と“願い”に変換する
これは、ネガティブな感情の奥に隠された、あなたの「本当の願い(欲求)」を見つけ出し、自分を深く理解するための問いかけです。
【自己対話の例:SNSで活躍している友人を見て、嫉妬してしまう時】
問いかけ
「このモヤモヤは、私が『本当は』どうなりたい、と教えてくれているんだろう?」
答えの例
「本当は、私もあの人のように、自分の好きなことで輝きたい。
もっと自分の才能を認めてほしい。
そうか、この嫉妬は、私の『もっと良くなりたい』という情熱の表れだったんだ。」
かつての私も、他人への嫉妬に苦しんでいました。
しかし、この問いかけを続けたことで、「私は、ただ自分の価値を信じられなくて、安心したかっただけなんだ」という本心に気づき、自分を癒す方向へとエネルギーを使えるようになりました。
リフレーミング術③:「だとしたら、今できることは?」と“行動”に変換する
これは、感情のエネルギーを、過去への後悔や現状への不満ではなく、未来への具体的な「次の一歩」へと変換するための、最もパワフルな問いかけです。
【自己対話の例:希望の部署に異動できず、絶望している時】
リフレーミング後
「この経験のおかげで、今の部署の仕事の価値を再発見できた。本当は、もっとクリエイティブな仕事で貢献したいと思っている。」
問いかけ
「だとしたら、今この場所でできる、ベビーステップは何だろう?」
答えの例
「今の業務に、少しでもクリエイティブな要素を取り入れられないか、上司に提案してみよう。まずは週に1時間でいいから、デザインの勉強をする時間を作ろう。」
この問いかけが、あなたを「感情の被害者」から「人生の創造主」へとシフトさせてくれます。
【最終回】まとめ:あなたの機嫌は、あなたがつくる
全4回にわたるレッスン、本当にお疲れ様でした。
私たちは、
【原因を知り】
→【可視化し】
→【手放し】
→そして【変換する】
という4つのステップ
を旅してきました。
もうあなたは、感情がただあなたを振り回すだけの存在ではないことを知っています。
感情は、あなたの「本当の願い」を知らせ、あなたをより良い未来へと導くための、信頼できるパートナーになりうるのです。
この連載で学んだことは、一度きりの知識ではありません。
それは、あなたがこれからの人生でずっと使える「心の筋トレ」の方法です。
辛い時、落ち込んだ時、いつでもこの記事に戻ってきてください。
あなたの人生の脚本家は、他の誰でもない、あなた自身。 自分の機DENを自分で取り、ごきげんな毎日を創造していく力は、すでにあなたの手の中にあります。
このレッスンが、あなたがあなた自身の最高の味方になるための、小さなきっかけとなったなら、これほど嬉しいことはありません。
あなたのこれからの毎日が、穏やかで、喜びに満ちたものでありますように。
【全4回】連載記事まとめ
この旅にご参加いただき、本当にありがとうございました。
いつでもこの場所に戻ってこれるように、全4回の連載記事をまとめました。
あなたの人生の“お守り”として、これからもご活用ください。
- 第1回:【原因を知る】 なぜか「心がザワつく」あなたへ。内観で不安の根本原因を探る方法
- 第2回:【可視化する】 感情の波に飲まれない!心の天気予報「感情ログ」のつけ方
- 第3回:【手放す】 感情のデトックス!ストレスを洗い流す「感情ジャーナリング」のすすめ
- 第4回:【変換する】 ネガティブな感情を「最高の味方」に変える、自己対話の魔法 (←イマココ)
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