前回の記事では、会話を弾ませる「聞き上手」になる方法をご紹介しました。
会話が苦手なあなたへ。誰でもできる「聞き上手」になる魔法の質問
しかし、コミュニケーションを工夫しても、どうしても心がザワついてしまう「苦手な人」というのは、いるものですよね。
顔を見るだけで気分が落ち込んだり、何気ない一言に深く傷ついたり…。
「苦手だと感じる自分が、心が狭いのかな」なんて、自分を責めてしまうこともあるかもしれません。
でも、どうか安心してください。
それは、あなたが悪いわけでは決してありません。
縁を切りたくても切れない相手との関わりで、これ以上あなたの心がすり減ってしまわないように。
今回は、
をご紹介します。
なぜ「苦手な人」を前にすると心がすり減るのか?
特定の人の前でだけ、どっと疲れてしまう。
その原因は、あなたが無意識のうちに、自分の大切な心のエネルギーを相手に明け渡してしまっているからです。
- 相手の不機嫌な態度を「自分のせいかも」と結びつけてしまう
- 「いつか分かってくれるはず」と、相手を変えようと努力してしまう
- 「変に思われたくない」と、相手の顔色ばかりうかがってしまう
このような状態では、相手の言動に一喜一憂し、常に心が不安定になります。
心のバリアは、こうした負のエネルギーからあなた自身を切り離し、心の平穏を保つための「盾」の役割を果たしてくれるのです。
あなたを守るのは「攻撃」ではなく「透明なシェルター」
「心のバリア」と聞くと、相手を拒絶したり、冷たくしたりするイメージがあるかもしれません。
しかし、ここでお伝えしたいバリアは、相手を攻撃するためのものではありません。
それは、あなたの大切な心を守るための、透明なシェルターのようなもの。
相手のネガティブな言葉や感情が心に直接突き刺さるのを防ぎ、「自分は自分」と穏やかなスペースを確保するための優しい自己防衛術なのです。
明日から使える!「心のバリア」を張る3つのステップ
それでは、具体的なステップを見ていきましょう。
難しく考えず、できそうなものから試してみてください。
ステップ1:「変えられること」と「変えられないこと」の境界線を引く
これは、心のバリアを築く上で最も大切な土台です。
「なんであんな言い方しかできないんだろう…」と、相手の言動を変えようと期待するほど、私たちは苦しくなります。
ここで大切なのが、
相手の機嫌や態度は、あくまで「相手の課題」です。
それに対して、あなたがどう感じ、どう行動するかは「あなたの課題」。
この2つを心の中でそっと切り分けてみましょう。
「その不機嫌は、あなたの課題であって、私のせいではない」と心の中で一線を引く。この境界線が、あなたを不要な罪悪感から守ってくれます。
ステップ2:物理的・心理的な「距離」をとる
苦手な相手とは、意識的に「距離」をとりましょう。
それは心の距離だけでなく、物理的な距離も含まれます。
- 情報的な距離:
SNSをミュートする、第三者からの噂話は「そうなんだ」と聞き流す。 - 時間的な距離:
会話は業務連絡など、必要最低限で切り上げる。「すみません、この後作業があるので失礼します」など、立ち去る口実を用意しておくのも有効です。 - 物理的な距離:
可能であれば、職場での座席を離してもらう、関わる機会が少ないチームに移動するなど、環境を調整する。
あなたから相手に近づく必要はありません。
心地よい距離を保つことは、自分を大切にするための立派なスキルです。
ステップ3:自分だけの「安全地帯」でエネルギーを充電する
苦手な人と関わった後は、多かれ少なかれ心のエネルギーを消耗します。
そのま放置せず、意識的に自分を癒してあげましょう。
- 好きな音楽を聴きながら、温かいお茶を飲む
- お気に入りの香りの入浴剤で、ゆっくりお風呂に入る
- 信頼できる友人に電話して、全く別の楽しい話をする
- 今日の自分を褒める日記を一行だけ書く
ポイントは、「苦手な人と会った後にやることリスト」をあらかじめ作っておくこと。
そうすれば、「疲れたな」と感じた時に、すぐに安全地帯へ避難し、心のエネルギーを回復させることができます。
まとめ
自分を守るスキルを、もっと当たり前に 「苦手な人」との関わりで心が折れそうになった時は、今日ご紹介した3つのステップを思い出してください。
- 相手の課題と自分の課題に「境界線を引く」
- 意識的に「距離をとる」
- 「安全地帯」で自分を癒す
苦手な人がいることを、自分だけのせいだと思い悩む必要はありません。
大切なのは、そんな環境の中でいかに自分の心を守り、ご機嫌に過ごすかというスキルを身につけることです。
心のバリアは、あなたを孤立させるものではなく、あなたらしくいるために必要な、賢く優しいセルフケアなのです。
【次回予告】
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
次回は、さらに一歩進んで「言いたいことを我慢して、いつも『いい人』になってしまう」
あなたのために、自分も相手も大切にするコミュニケーション術について解説します。
連載第3回:頼まれごとを断れないあなたへ。罪悪感なく「NO」と言う練習帳
お楽しみに!