ふと、鏡に映る自分を見た時に、「この人は、本当に私なんだろうか?」と感じたことはありませんか?
周りの期待に応えようと、そつなく役割をこなし、笑顔を貼り付けて毎日を過ごしている。
SNSを開けば、誰もがキラキラと「理想の人生」を生きているように見える。 それに比べて、自分は…?
「本当にやりたいことは何?」と聞かれても、すぐに答えられない。
「あなたの強みは何?」と問われても、言葉に詰まってしまう。
まるで、自分という人間の輪郭が、ぼんやりと霞んでしまったよう。
私にも、そんな時期がありました。
周りが求める「しっかり者の長女」や「デキる同僚」という役を完璧に演じようとするあまり、その衣装の下にいる「本当の自分」が、何を感じ、何を望んでいるのか、聞こえなくなってしまったのです。
もし、あなたが今、そんな「自分がわからない」という、静かだけれど深い不安の中にいるのなら。
それは、あなたの人生が、新しい章の始まりを告げている、素晴らしいサインです。
この連載シリーズ
では、そんなあなたが「本当の自分」という、かけがえのない宝物を見つけるための、具体的で安全な探求の旅をご案内します。
記念すべき第1回は、「旅の始まり」。
すべての探求の原点である、「自分の内側を静かに見つめる=内観」の方法について、詳しくお伝えしていきます。
この記事を読み終える頃には、あなたは「自分がわからない」という霧の中から抜け出し、自分探しの旅の地図とコンパスを手に入れているはずです。
なぜ、私たちは「本当の自分」がわからなくなるのか?
そもそも、どうして私たちは、自分自身のことがわからなくなってしまうのでしょうか。その背景には、いくつかの共通した原因があります。
原因①:周囲の期待という「役割の鎧」が、重すぎる
「しっかり者の長女」
「聞き分けのいい子」
「優秀な社員」
「優しいお母さん」…
私たちは、成長する過程で、周りから与えられた様々な「役割」を演じることで、社会に適応していきます。
しかし、その役割という名の「鎧」をあまりにも長い間、そして何枚も着込みすぎると、鎧が肌に食い込んで、脱ぎ方さえ忘れてしまう。
鎧の下にいる「生身の自分」が何を感じ、何を望んでいるのか、自分自身でさえわからなくなってしまうのです。
原因②:情報が多すぎて「自分の心の声」がかき消される
スマートフォンを開けば、分刻みで世の中のニュースや他人の日常が流れ込んでくる現代。
「〇〇歳までには、こうあるべきだ」
「今、流行っているのは、こういう生き方だ」
あまりにも多くの「外側の声」が大きすぎて、スタジアムの歓声の中で、友人のささやき声を聞こうとするようなもの。
あなたの心の内側から発せられる、か細い「本当の声」は、簡単にかき消されてしまいます。
原因③:失敗を恐れて「無難な道」ばかり選んできた
心のどこかで「本当はこっちの道に進んでみたい」と感じていても、
「失敗したらどうしよう」
「周りから反対されたら…」と、
ついリスクの少ない「無難な道」を選んできた経験はありませんか?
挑戦を避け、傷つかないように自分を守ることを繰り返していると、
自分の「好き」という情熱や、
「できる」という可能性に触れる機会を失ってしまいます。
結果として、手触り感のない人生の中で、「自分」という感覚が希薄になっていくのです。
自分探しの旅の第一歩。「内観」で自分の現在地を知る方法
では、鎧を脱ぎ捨て、雑音を遮断し、自分自身の心と向き合うためには、具体的にどうすればいいのでしょうか。
そのための最初のステップが、このシリーズを通して何度もお伝えしていく「内観」です。
自分探しの旅において、内観は、「自分が今どこにいるのか」という現在地を確かめる作業です。
現在地がわからなければ、目的地へのルートも描けませんよね。
ここでは、旅の始まりにふさわしい、3つのステップに分けた内観法をご紹介します。
ステップ1:【地図を広げる】心の断捨離ジャーナリング
まずは、頭の中に散らかった思考や感情を、一度すべて外に出して、「心の地図」を広げてみましょう。
用意するもの
誰にも見せないノートと、書きやすいペン
やること
タイマーを10分セットし、その時間、頭に浮かんだことを、判断せずにひたすら書き出す。
「今日の夕飯どうしよう」
「あの人に言われた一言がムカつく」
「将来が不安だ」
「疲れた」…
どんなに些細なことでも、ネガティブなことでも構いません。
文法や構成も一切気にせず、心の中のガラクタを、すべて紙の上に「断捨離」していくイメージです。
ステップ2:【コンパスを置く】感情の源泉を探る2つの質問
心の地図が広がったら、次に、あなたの進むべき方向を示す「コンパス」を置いてみましょう。
そのコンパスとは、あなたの「感情」です。
ノートの新しいページに、次の2つの質問について、思いつくままに書き出してみてください。
質問A
「この1週間で、心が『晴れた』瞬間はどんな時でしたか?」
(小さな喜び、ワクワクしたこと、時間を忘れて集中できたこと、誰かに感謝したことなど)
質問B
「この1週間で、心が『曇った』瞬間はどんな時でしたか?」
(小さなイライラ、モヤモヤしたこと、心がザワついたこと、罪悪感を覚えたことなど)
嬉しい・楽しいといった「陽」の感情は、あなたの「好き」や「得意」の方向を指し示しています。
逆に、イライラ・モヤモヤといった「陰」の感情は、「それはあなたの本心ではないですよ」という、魂からのサインです。
ステップ3:【最初の足跡】「小さな違和感」から行動を変えてみる
地図を広げ、コンパスを置いたら、いよいよ旅の「最初の足跡」を残す時です。
大げさな一歩である必要はありません。
ステップ2で見つけた、ほんの「小さな違和感(心の曇り)」に対して、一つだけ行動を変えてみるのです。
【私の最初の足跡】
心の曇り
SNSで友人のキラキラした投稿を見て、いつも自分と比べて落ち込んでしまう。
最初の足跡
大きな目標を立てるのをやめ、まずは「平日の夜9時以降は、SNSのアプリを開かない」と決めてみた。
たったそれだけでしたが、「私は、自分の心の声を無視しない」と自分自身に約束できた感覚は、大きな自信になりました。
この小さな行動こそが、自分探しの旅を前に進める、何よりの原動力となるのです。
まとめ:あなたの旅は、ここから始まる
「本当の自分がわからない」
その感覚は、あなたが道に迷っている証拠ではなく、新しい道へと出発する準備ができたという、素晴らしい合図です。
誰かが敷いた安全なレールの上を歩くのではなく、あなただけの地図を広げ、あなただけのコンパスを頼りに、未知なる荒野へと一歩を踏み出す。
自分探しの旅とは、まさにそんな冒険です。
もちろん、旅の途中で道に迷ったり、嵐に見舞われたりすることもあるでしょう。
でも、大丈夫。あなたの中には、必ず進むべき方向を指し示す羅針盤が眠っています。
今回の内観は、その羅針盤の存在に気づき、その針が微かに震えるのを感じるための、最初のステップです。
焦らず、急がず、あなた自身のペースで。
今日から、あなただけの物語を紡ぐ、壮大な旅を始めてみませんか?
【連載】「私は何者?」に答える。自分探しの旅・完全ガイド
▶︎ 次回予告:あなたの「隠れた才能」を見つける方法
さて、今回の記事で、あなたは自分探しの旅の「現在地」を知ることができました。
では、この旅を力強く進んでいくために、あなたはどんな「装備(=才能や強み)」を持っているのでしょうか?
次回の第2回【深く知る】では、あなた自身もまだ気づいていないかもしれない、あなただけの「強み」や「隠れた才能」を見つけ出すための具体的なワークについて詳しくお伝えします。
旅の頼れる武器を見つける、ワクワクする冒険です。
ぜひ、次回の更新も楽しみにお待ちください。
【全4回】「私は何者?」に答える。自分探しの旅・完全ガイド
- 第1回:【旅の始まり】
「本当の自分」がわからない…内観で自己探求の旅に出よう (←イマココ) - 第2回:【深く知る】
「私は何者?」がわかる!自分を知るための究極の質問リスト - 第3回:【価値観を見つける】
自分の価値観がわかる!人生の軸を見つける「内観の地図」 - 第4回:【強みを受け入れる】
落ち込んだ時に読みたい。自分を励ます「強み発見ジャーナリング」
もっと深く、あなたの「心の声」と繋がりたいあなたへ
自分探しの旅の、最高のガイドは、あなた自身の「心の声=直感」です。
自分の内なる声に耳を澄まし、その導きを信じられるようになると、人生の迷いは驚くほど減り、あなたらしい道が自然と開かれていきます。
▼ まずは自分の感覚に自信を持ちたいあなたへ
『その感覚、信じていいよ: 願いが叶いはじめる、直感の使い方』