前回の記事では、
「頑張っても報われない…」と感じる根本的な原因が、
自分自身の無意識の「思考のクセ」にあること、
そして、まずはそのクセに「気づく」ことの大切さに
ついてお伝えしました。
もしかしたら、あなたは少しだけ、ご自身の心を縛っていた「~べき」や「自己犠牲」といった見えない鎖の存在に、気づき始めた頃かもしれませんね。
そして、そのクセの中でも、特に多くの人を疲れさせ、人生の主導権を奪ってしまうのが、今回のテーマである「他人軸」です。
- 「あの人は、私のことをどう思っているだろう?」
- 「本当は嫌だけど、断ったら嫌われるかもしれない…」
- 「周りの期待に応えなければ、私の価値はない…」
まるで、自分の心の中に“他人の視線”という名の監視カメラが設置されていて、一挙手一投足をチェックされているような感覚。
他人の評価という、天気のよう移ろいやすいものに一喜一憂し、気づけば「本当の自分」が何を感じ、何を望んでいるのかさえ、わからなくなってしまう。
もし、あなたがそんな「誰かの人生」を生きているような息苦しさを感じているのなら、大丈夫。 あなたは、その場所から自分の足で歩き出すことができます。
今回は、
思考のクセに「気づいた」次のステップとして、
あなた自身の物語を始めるための具体的な思考法
「インサイド・アウト・シフト」
をご紹介します。
この記事を読み終える頃には、あなたは他人の評価という霧の中から抜け出し、自分自身の内なるコンパスを頼りに、人生を歩んでいくための確かな地図を手にしているはずです。
なぜ私たちは「他人軸」の罠にハマってしまうのか?
本題に入る前に、少しだけ立ち止まってみましょう。
そもそも、なぜ私たちはこれほどまでに、他人の目を気にしてしまうのでしょうか?
それは、あなたの心が弱いからではありません。
むしろ、あなたが心優しく、周りとの調和を大切にする素敵な人だからこそ、陥りやすい罠なのです。
私たちは誰もが、「誰かに認められたい」「大切な人から愛されたい」という自然な「承認欲求」を持っています。
そして、自分の意見を言って波風を立てるより、周りに合わせて穏便に済ませたいと願う「平和主義」な一面も。
これらの思いは、本来とても美しいものです。
しかし、その思いが強くなりすぎると、「期待に応えられない自分には価値がない」「自分さえ我慢すれば丸く収まる」という思考に繋がり、常に他人の評価を求める「他人軸」の状態に陥ってしまうのです。
「他人軸」から「自分軸」へ。人生の主導権を取り戻す「インサイド・アウト・シフト」とは?
他人軸の正体がわかったところで、いよいよ本題です。
その状態から抜け出し、自分自身の心の声に従って生きる「自分軸」を取り戻すための思考法、それが「インサイド・アウト・シフト」です。
難しく聞こえるかもしれませんが、意味はとてもシンプル。
自分の「外側(アウトサイド)」にある他人の評価や常識から、
自分の「内側(インサイド)」にある本当の気持ちや価値観へと、
意識的に「移行(シフト)」させていこう、
という考え方です。
この思考法は、以下の3つのステップを、繰り返し練習することで、誰でも身につけることができます。
【実践編】インサイド・アウト・シフトを身につける3つのステップ
ここからは、私自身の経験を例に、具体的な3つのステップを詳しく見ていきましょう。
ステップ1:インサイド(Inside)- 静かに自分の「内側」の声を聞く
最初のステップは、あらゆる評価や「べき論」から自由になり、ただ静かに自分の「内側」の声に耳を澄ますことです。
これは、第1回でご紹介した「内観」そのものです。
【私の例:友人からの飲み会の誘い】
友人から「今度の週末、飲み会しない?」と誘われたとします。
❌ 他人軸の思考(外側の声)
「本当は疲れているから家で休みたいけど、断ったら悪いかな…」
「最近会えてなかったし、付き合いが悪いと思われたくないな…」
「みんなが行くなら、私も行くべきだよな…」
✅ インサイドの問いかけ(内観)
「(周りの意見は一旦置いておいて)今、私は『本当は』どうしたい?」
「なぜ、家で休みたいと感じるの?」
🌿 見つかる内側の声(答え)
「先週から仕事が忙しくて、心も体もクタクタだ」
「誰にも気を遣わず、一人でゆっくり本を読んだり、映画を観たりする時間が、今の私には必要だ」
このように、感情や願望の奥にある「本当の理由」を、ジャッジせずに見つけてあげることが、すべての始まりです。
ステップ2:アウト(Out)- 小さな「YES」を自分に許可し、行動する
ステップ1で自分の内側の声に気づけたら、次はその思いを「外側(アウト)」の世界で表現してあげるステップです。
内側に秘めているだけでは、現実は変わりません。
大切なのは、自分の心の声に対して、小さな「YES」を出し、行動を許可してあげることです。
【私の例:飲み会の誘いへの返答】
ステップ1で「一人でゆっくりする時間が必要だ」という内なる声が見つかりました。
❌ これまでの私
自分の本音にフタをして、「行く!」と即答。
当日、無理して笑顔を作り、帰宅後にどっと疲れる。
✅ 小さなアウト(自分へのYES)
罪悪感なく断る練習(※)を思い出し、正直に、でも優しく伝えてみる。
「誘ってくれてありがとう!すごく嬉しいんだけど、今週は少し疲れが溜まっていて…。もしよかったら、来週末にするのはどうかな?」
この「自分の内側の声に気づき、それを無視せず、行動に移してあげられた」という小さな成功体験の積み重ねが、「自分の気持ちを大切にしてもいいんだ」という自己肯定感を、力強く育ててくれます。
ステップ3:シフト(Shift)- 思考の「舵」を意識的に内側へ戻す
最後のステップは、
日常生活の中で、無意識に他人軸に戻ってしまいそうになった自分に気づき、
意識的に思考の「舵」を自分の内側へと戻す(シフトする)練習です。
これは、継続的に行っていく「心の筋トレ」のようなものです。
ふと、こんな考えが頭をよぎったら、それが「シフト」の合図です。
- 「あの人は、きっとこう思っているに違いない…」
- 「普通はこうするものだから、合わせておこう…」
- 「これをやったら、周りからどう見られるだろう…」
その瞬間に、一度心の中で立ち止まり、自分にこう問いかけてみましょう。
「今、私はどうしたい?」
この問いを習慣にすることで、あなたは他人軸に戻りそうになる自分を客観的に見つめ、自分軸の軌道へと修正できるようになります。
「自分軸」で生きるための、はじめの一歩
「インサイド・アウト・シフト」の3ステップ、いかがでしたでしょうか。
最後に、今日、この瞬間からできる、最も簡単なトレーニングをご紹介します。
それは、「今日のランチ、あなたは何が『本当に』食べたいですか?」という問いかけです。
「同僚に合わせてパスタにするか…」でもなく、
「ヘルシーだからサラダにすべきかな…」でもなく、
ただ、あなたの心と体が
「今、これが食べたい!」と叫んでいるものを選んであげる。
こんな小さなことからで、いいのです。
自分の小さな「したい」を、一つひとつ叶えてあげる練習が、やがて大きな決断をする時の、揺るぎない「自分軸」を創り上げていきます。
まとめ:あなたの人生の主役は、あなた
今回は、他人軸から抜け出し、人生の主導権を取り戻すための思考法「インサイド・アウト・シフト」についてお伝えしました。
その積み重ねが、あなたをがんじがらめにしていた「他人軸」という見えない鎖から解放し、心からの笑顔と充実感を与えてくれます。
あなたは、誰かの物語を彩るための脇役ではありません。 あなた自身の物語の、唯一無二の主人公なのです。
【連載】「誰かの人生」を卒業!自分の物語を始めるための思考リセット術
▶︎ 次回予告:自分軸で歩む時に訪れる「壁」の乗り越え方
さて、今回の記事で、他人軸から自分軸へとシフトするための具体的な方法がわかりました。
しかし、いざ自分軸で行動しようとすると、「周りの反応が怖い」「罪悪感を感じてしまう」といった、新たな「壁」にぶつかることがあります。
次回の第3回【自分軸を確立する】では、自分らしい人生を歩み始めた時に訪れる、こうした内なる抵抗や、周りとの摩擦を乗り越えるための具体的なヒントについて詳しくお伝えします。
ぜひ、次回の更新も楽しみにお待ちください。
【全4回】「誰かの人生」を卒業!自分の物語を始めるための思考リセット術
- 第1回:【思考のクセに気づく】 「頑張っても報われない」原因はこれだった!思考のクセに気づく内観法
- 第2回:【他人軸から抜け出す】「どう思われるか」が口ぐせのあなたへ。他人軸から抜け出し、人生の主導権を取り戻す3ステップ (←イマココ)
- 第3回:【自分軸を確立する】 あなたの人生の主役は誰?自分軸を確立して後悔しない生き方
- 第4回:【未来を描く】 人生を変える!「思考の羅針盤」の見つけ方
もっと深く、あなたの「本当の願い」と繋がりたいあなたへ
思考のクセの奥には、あなたの「こうありたい」という本当の願いが隠されています。
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