「特に大きな悩みがあるわけでもないのに、なぜか心が落ち着かない…」
晴れた日の朝や、お気に入りのカフェで過ごしている時でさえ、ふとした瞬間に、胸のあたりが「ザワザワ…」と音を立てるような感覚に襲われたことはありませんか?
理由がはっきりしている怒りや悲しみとは違う、まるで霧のようにつかみどころのない不安感。
その正体がわからないからこそ、余計に怖くなって、「自分はどこかおかしいのかもしれない…」と、一人で抱え込んでしまう。
もし、あなたが今、そんなふうに感じているのなら、大丈夫。
その感覚、私もよく知っています。
あなたは、決して一人ではありません。
その「ザワザワ」は、故障のサインではなく、あなたの心が「ねえ、私の本当の気持ちに気づいてほしいな」と送っている、とても健気で、大切なメッセージなのです。
このシリーズ
自分の「機嫌」の取り方レッスン
では、そんなあなたが感情と上手く付き合い、穏やかな心で毎日を過ごすための方法を、段階的にお伝えしていきます。
記念すべき第1回のテーマは、「原因を知る」こと。
この記事を読み終える頃には、あなたの心をザワつかせる「漠然とした不安」の正体を知り、その根本原因を自分自身で見つけるための具体的な方法がわかります。
さあ、一緒にあなたの心の中を、優しく探る旅に出かけましょう。
なぜ?理由もないのに「心がザワつく」3つの隠れた原因
まず最初に知っておいてほしいのは、「心がザワつく」のは、あなたが弱いからでも、おかしいからでもない、ということです。
それは、誰にでも起こりうる、ごく自然な心の反応。
多くの場合、その正体は、自分でも気づかないうちに心の中に溜め込んでしまった「未消化の感情」や「思考のクセ」にあります。
原因1:見て見ぬふりをした「感情」にフタをしていませんか?
私たちは、周りの人に気を遣ったり、社会人として「ちゃんとしなきゃ」と思う中で、無意識のうちに自分の本当の感情にフタをしてしまうことがあります。
「こんなことでイライラするなんて、大人げない」
「悲しい顔を見せたら、場の空気が悪くなるかも…」
そうやって見ないふりをした感情は、決して消えてなくなるわけではありません。
心の奥底にある“クローゼット”に少しずつ押し込まれていき、行き場をなくした感情が「なんだかよくわからない不安」や「焦り」として、ドアの隙間から漏れ出してくるのです。
原因2:知らず知らずのうちに「他人軸」で生きていませんか?
「みんなはどう思うだろう?」
「パートナーに嫌われないためには、どうすればいい?」
他人の評価や期待に応えることばかりを優先し、自分の「やりたい」「やりたくない」という心の声を後回しにしていませんか?
このような「他人軸」で生きていると、常に周りの顔色をうかがうことになり、心が休まる暇がありません。
「本当の自分」と「周りに見せている自分」との間にズレが生じ、その違和感が「心がザワつく」という形で現れることも少なくないのです。
原因3:まだ起きていない“未来”の不安に飲み込まれている
「もし、仕事で大きなミスをしたらどうしよう…」
「この先、ずっと一人だったらどうしよう…」
特に、真面目で責任感の強いあなたほど、まだ起きてもいない未来のリスクを考えすぎてしまい、「今、ここ」にある穏やかさを見失いがちです。
頭の中が、未来の心配事でいっぱいになり、心が常に落ち着かない状態になってしまいます。
「内観」で不安の根本原因を探る、優しい3ステップ
では、どうすれば心の中にある「ザワつき」の根本原因を見つけることができるのでしょうか?
そのための最もシンプルで強力な方法が「内観(ないかん)」です。
内観とは、静かな環境で、自分の心の内側を深く見つめ、自分自身と対話すること。難しく考える必要はありません。
今日からすぐに始められる、具体的な3つのステップをご紹介します。
ステップ1:【準備】安心できる「聖域」と時間を確保する
まずは、誰にも邪魔されない、あなたが「安心できる」と感じる時間と場所を用意しましょう。
いわば、あなただけの「聖域(サンクチュアリ)」です。
時間
1日のうち、たった5分でも構いません。
寝る前の静かな時間や、朝起きてすぐの頭がスッキリしている時がおすすめです。
場所
自分の部屋のベッドの上、お気に入りのソファなど、あなたが心からリラックスできる場所を選びましょう。
温かい飲み物や、好きな香りのアロマを焚くのも素敵ですね。
お約束
スマホは通知オフにするか、少し離れた場所に。
この時間だけは、外の世界ではなく、自分の内側の世界に集中する、と決めてあげましょう。
ステップ2:【問いかけ】ノートに「今、何を感じている?」と書き出す
安心できる環境が整ったら、ノートとペンを用意し、自分自身にこう問いかけてみましょう。
そして、頭に浮かんだことを、良い・悪いとジャッジせず、ただひたすらノートに書き出していきます。
- 「胸がドキドキする」
- 「肩が石みたいに重い」
- 「なんだか、そわそわして落ち着かない」
- 「明日のプレゼンのことを考えると、胃がキュッとなる」
言葉にならなくても構いません。
ぐちゃぐちゃの線を描いたり、思いついた単語を並べるだけでも大丈夫。
大切なのは、心の中にあるモヤモヤを「見える化」して、客観的に眺めてみることです。
ステップ3:【深掘り】「そっか、どうしてそう感じるの?」と優しく繰り返す
心の中にあるものを書き出したら、次はその一つひとつに対して、「どうして?」と優しく問いかけ、さらに深く掘り下げていきます。
ここでのポイントは、自分を責めないこと。
「どうして私はこうなんだ…」と落ち込むのではなく、大好きな親友の相談に乗るような気持ちで、ただただ耳を傾けてあげましょう。
【深掘りの例】
「明日のプレゼンのことを考えると、胃がキュッとなる」
↓
そっか、どうして?
→ 「うまく発表できなかったらどうしよう、という不安があるから」
↓
どうして、そう思うの?
→ 「以前、似たような発表で、質問にうまく答えられなかった苦い経験があるから」
↓
それが、どうして怖いのかな?
→ 「周りから『仕事ができない人だ』と思われたくないから」
↓
そっか、そう思われたくないんだね。どうして?
→ 「みんなに認められたい、この場所にいていいんだって安心したい、と思っているから」
表面的な出来事の奥に隠れていた、
あなたの「〜したい」という本当の願いや、
「〜たくない」という健気な恐れが見えてきます。
これが、あなたの心をザワつかせていた根本原因の「核」なのです。
まとめ:あなたの心は、あなたに気づいてほしがっている
いかがでしたでしょうか。
理由のわからない「心のザワつき」は、決してあなたを苦しめるためだけに現れるのではありません。
それは、
あなた自身からの切実なメッセージです。
その声から目を背けるのではなく、「内観」という方法で優しく耳を傾けてあげること。
そして、その奥に隠れた自分の「願い」や「恐れ」に気づいてあげること。
それが、感情の波に飲まれず、自分の機嫌を自分で取れるようになるための、確かな第一歩です。
完璧にできなくても、1日5分、自分の心に関心を持ってあげるだけで、100点満点です。
あなたの人生の主役は、他の誰でもない、あなた自身。
今日、この瞬間から、あなたの心の最も良き理解者になってあげませんか?
【連載】自分の「機嫌」の取り方レッスン
▶ 次回予告:見つけた「不安」と、どう付き合う?
さて、今回の記事で「心のザワつき」の根本原因を探る方法がわかりました。
次回の第2回【可視化する】では、内観で見つけた日々の感情の波を、もっと客観的に捉えるための「感情ログ」というテクニックをご紹介します。
自分の感情のパターンを知ることで、さらに上手に心の波を乗りこなせるようになりますよ。
【全4回】もう感情の波に飲まれない!自分の「機嫌」の取り方レッスン
- 第1回:【原因を知る】 なぜか「心がザワつく」あなたへ。内観で不安の根本原因を探る方法 (←イマココ)
- 第2回:【可視化する】 感情の波に飲まれない!心の天気予報「感情ログ」のつけ方
- 第3回:【手放す】 感情のデトックス!ストレスを洗い流す「感情ジャーナリング」のすすめ
- 第4回:【変換する】 心が軽くなる!自己対話でネガティブな感情をポジティブに変える方法
もっと「内観」を深めたいあなたへ
もし、この記事を読んで「内観」の世界に興味が湧いたなら、これらの書籍があなたの旅をさらに深く、豊かなものにしてくれるはずです。
▼ まずは自分の感覚に自信を持ちたいあなたへ
『その感覚、信じていいよ: 願いが叶いはじめる、直感の使い方』
▼ 自分の「才能」としての直感タイプを知りたいあなたへ
▼ 直感力を磨く、具体的な実践方法を知りたいあなたへ