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イライラ・不安を手放す「感情ジャーナリング」の書き方【心のデトックス】

内観ジャーナリングと自己対話
この記事は約9分で読めます。

この連載も、いよいよ折り返し地点ですね。

【第1回】では「内観」で自分の心の奥にある根本原因を探り、
【第2回】では「感情ログ」で日々の心の天気を可視化する方法
をお伝えしました。

もしかしたら、
あなたは「感情ログ」をつけ始めたことで、
「自分はこんな時にイライラしやすいんだな」
「不安を感じると、決まって肩が重くなる」といった、
自分だけのパターンに気づき始めた頃かもしれません。

パターンに気づけるようになったのは、素晴らしい進歩です。

 

しかし、同時にこうも感じているのではないでしょうか?

「心が『嵐』だとわかっても、その嵐の中で、一体どうすればいいの?」
「この湧き上がってくるネガティブな感情を、どう扱えばいいんだろう?」

そう、天気がわかっただけでは、まだ不十分。

大切なのは、雨が降ってきた時に
傘をさし、安全な場所で雨宿りする方法」を知っていることです。

今回は、

心の中に溜まったストレスやネガティブな感情を、
安全に洗い流すための具体的な実践法、
感情ジャーナリング

をご紹介します。

この記事を読み終える頃には、
あなたは感情の波に飲み込まれるのではなく、
そのエネルギーを上手に受け流すための
「心のデトックス術」を身につけているはずです。

 

感情ジャーナリングとは?感情ログとの決定的な違い

「また書くの?感情ログと何が違うの?」

そう思われたかもしれませんね。

この二つは、目的がまったく異なります。

 

一言でいうなら、感情ログが「心の天気図」だとすれば、
感情ジャーナリングは「嵐を安全にやり過ごすための避難所(シェルター)」です。

  • 感情ログの目的
    日々の感情を「定点観測」し、
    客観的なデータを集めてパターンを把握すること。
  • 感情ジャーナリングの目的
    今まさに感じている強い感情を
    外に吐き出し、浄化(デトックス)する」こと。

心の中に溜まった泥水を、きれいな水と入れ替えるようなイメージで、特に、怒り、不安、悲しみといったネガティブな感情が渦巻いている時に、その絶大な力を発揮します。

 

なぜ「書く」だけで、心がデトックスされるの?

頭の中でぐるぐると回り続けていた感情を、
一度「文字」として外に出すことで、
私たちはその感情と心の距離を取ることができます。

それは、散らかった部屋の片づけと似ています。

まずクローゼットの中のものを全部出して床に広げることで、
初めて「自分はこんなに沢山のものを持っていたんだ」と客観視でき、
いるもの・いらないものを整理できますよね。

「書く」という行為は、
心の中のものを一度全部出すことで、
冷静なもう一人の自分
「そっか、今こんな気持ちなんだね」と寄り添ってくれる、
パワフルな心の整理術
なのです。

 

心のデトックスを始める「感情ジャーナリング」の書き方【3ステップ】

さあ、具体的なやり方を見ていきましょう。

感情ジャーナリングは、決まった型や正解のない、とても自由なものです。

ここでは、初心者の方でも始めやすい、基本的な3つのステップをご紹介します。

ステップ1:【吐き出す】タイマーを5分セット。思考を止め、心を垂れ流す

まずは、心の中に溜まっているものを、残らず吐き出す「デトックスタイム」です。

  1. ノートとペンを用意します。
    (誰にも見せないものなので、裏紙でも構いません)
  2. スマートフォンのタイマーを5分〜10分にセットします。
  3. タイマーが鳴るまで、頭に浮かんだことをひたすら書き続けます。

 

ここでのルールは、たった一つ。
絶対に自分を検閲しないこと」です。

「こんなこと書いちゃダメだ」
「もっと綺麗な字で書かなきゃ」
「文法がおかしいかも」といった
“頭の声”は、すべて無視してください。

「あの人のせいで本当にムカつく!」
「もう全部嫌だ!どうして私ばっかり!」

普段は口に出せないような汚い言葉や、支離滅裂な文章で大丈夫。

大切なのは、頭で考えず、
心に浮かんだ感情を、
指先からダイレクトに紙へと流し出す感覚
です。

 

ステップ2:【客観視する】書き出した文章を「親友からの手紙」として読み返す

感情を吐き出し終えたら、一度深呼吸。

そして、今書きなぐった文章を、
まるで大好きな親友から届いた、悩みの相談の手紙」だと思って、少し距離を置いて読み返してみましょう。

「なるほど、この子は今、こんなことで怒っているんだな」
「こんな言葉を言われて、すごく悲しかったんだね。それは辛いよね」

そうやって他人事として読むことで、
感情的になっていた時には見えなかった、
自分の本当の気持ちが見えてきます。

私自身、仕事のことでイライラを書き出した後で読み返してみたら、
「ああ、私は怒っていたんじゃなくて、ただ『分かってもらえない』ことが悲しかっただけなんだな」と、怒りの鎧の下に隠れていた、自分の繊細な本心に気づけた経験があります。

 

ステップ3:【自分を癒す】今の自分に、一番かけてほしい言葉を贈る

最後に、今のあなたの気持ちに、そっと寄り添うステップです。

ステップ2で客観視した「悩める親友(=あなた自身)」に対して、今のあなたがかけてあげたい優しい言葉を、文章の最後に書き加えてみましょう

 

  • 「それは怒るのも無理ないよ。あなたはよく頑張ったね。」
  • 「不安になるよね。でも、一人じゃないから大丈夫だよ。」
  • 「悲しかったね。今日はもう何も考えずに、ゆっくり休もう。」

 

誰かに言ってもらいたかったその言葉を、
世界で一番の味方であるあなた自身が、あなたにかけてあげるのです。

この「自己受容」の言葉で締めくくることで
ジャーナリングは単なる愚痴の吐き出しではなく、
パワフルなセルフケアの儀式に変わります。

 

【感情別】すぐに使えるジャーナリング・テーマ例

「いざ書こうと思っても、何から書けばいいかわからない…」

そんな時のために、感情別に使える「問いかけ」のテーマ例をいくつかご紹介します。

この問いかけを、ジャーナリングの書き出しに使ってみてください。

😡 「イライラ・怒り」で心が燃えている時

  • 今、私が本当に「何に」怒っているんだろう?
  • その出来事の、何がそんなに許せないと感じる?
  • 本当は、相手にどうしてほしかった?どうなりたかった?

 

😥 「不安・恐れ」で心が凍りついている時

  • 今、私が最も恐れている「最悪のシナリオ」って、具体的にどんなこと?
  • そのシナリオが、実際に起こる確率は、冷静に考えて何パーセントくらい?
  • この不安が、私に「もっと準備して」と伝えようとしているメッセージは何だろう?

 

😢 「悲しみ・落ち込み」で心が沈んでいる時

  • 今、私は何を「失った」と感じて、こんなに悲しいんだろう?
  • この悲しみは、体のどのあたりが重い感じがする?
  • 今の自分を抱きしめてあげるために、まず何をしてあげられるかな?

 

まとめ:ネガティブな感情は「デトックスのサイン」

私たちの心に湧き上がる感情は、良いものも悪いものも、すべてが一時的な訪問者のようなものです。

感情ジャーナリングは、

その訪問者(特に、嵐を連れてくるような厄介な客)を、
無理に追い返したり、
見ないふりをして閉じ込めたりするのではなく、
「こんにちは。あなたが来た理由はわかりました。
教えてくれてありがとう。どうぞ、お気をつけて」と、
丁寧にお見送りするための作法です。

心に溜まった感情は、便秘と同じ。

我慢せずに、
こまめに外に出してあげることで、
あなたの心はいつも軽やかで、健やかな状態を保つことができます。

ネガティブな感情に襲われた時、それはあなたを苦しめる敵ではありません。

心のデトックスのチャンスが来た!

そう思えたら、あなたの人生はもっと生きやすく、しなやかなものに変わっていくはずです。

 

 

【連載】自分の「機嫌」の取り方レッスン

▶︎ 次回予告:いよいよ最終回!「ごきげんな自分」を育てる習慣

さて、これであなたは、
感情の原因を探り(第1回)
パターンを可視化し(第2回)、
そしてネガティブな感情を手放す(第3回)方法
を学びました。

いよいよ次回は、このシリーズの最終回です。

第4回【変換する】では、
ただ不機嫌にならないように「守る」だけでなく、
積極的に「ごきげんな状態」を自分で創り出していくための、
具体的なアクションプランについてお伝えします。

ぜひ楽しみにお待ちください。

 

【全4回】もう感情の波に飲まれない!自分の「機嫌」の取り方レッスン

 

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