前回の記事では、理由のわからない「心のザワつき」の正体を探るため、自分自身の心と対話する「内観」の方法についてお伝えしました。
もしかしたら、あなたは少しだけ、ご自身の心の奥にある「本当の願い」や「恐れ」に気づくことができたかもしれませんね。
しかし、原因がぼんやりと見えてきても、日々の生活の中では、次から次へと新しい感情の波がやってきます。
嬉しいことがあって舞い上がったかと思えば、
SNSでの些細な一言で深く落ち込んだり、
夕方になると急に理由のない不安に襲われたり…
まるで、目まぐるしく変わる空模様のように、自分の感情に振り回されてヘトヘトになってしまう。
「この激しい気分の浮き沈み、どうにかならないかな…」
もし、あなたがそう感じているのなら、次におすすめしたいのが「感情の可視化」です。
天気予報があれば、雨が降る前に傘を用意できるように、自分の「心の天気」を予測できれば、感情の波に飲み込まれる前に、心の準備ができます。
今回は、
をご紹介します。
この記事を読み終える頃には、あなたは自分の感情を客観的に眺め、そのパターンを理解するための「心の天気図」を手に入れているはずです。
感情の波に「乗る」ことはあっても、もう「飲まれる」ことはありません。
さあ、自分の機嫌を自分で取るための、新しいレッスンを始めましょう。
「感情ログ」とは?なぜ心の天気予報が必要なの?
「感情ログ」と聞くと、なんだか難しそうに聞こえるかもしれませんね。
でも、やることはとてもシンプル。
一言でいえば、「“今の自分の感情”を、短くシンプルに記録し続ける習慣」のことです。
出来事を長々と書く日記とは違い、主役はあくまで「感情」そのもの。
なぜ、この感情の記録が、私たちの心を穏やかにしてくれるのでしょうか。
それには、3つの大きな理由があります。
理由1:自分の「感情パターン(心のクセ)」に気づけるようになる
私たちは、自分で思っている以上に、同じような状況で、同じような感情を繰り返しています。
私自身、感情ログを始めるまでは、自分のイライラは予測不能なものだと思い込んでいました。
しかし、記録を続けてみると、「空腹な時」と「寝る前にスマホを見た後」に、決まって心の天気が“嵐”になっていることに気づいたのです。
こうした感情のパターンは、無意識のうちに繰り返しているため、なかなか自分では気づけません。
「感情ログ」は、そんなあなただけの「心のクセ」を、くっきりと浮かび上がらせてくれるのです。
理由2:感情と「事実」を切り離して、冷静になれる
感情の渦中にいる時、私たちは物事を大げさに捉えがちです。
一度仕事でミスをしただけで、「私は何をやってもダメな人間だ…」と、「たった一つの事実」と「絶望的な感情」をごちゃ混ぜにしてしまいます。
しかし、
「感情ログ」に「〇〇でミスをして、すごく落ち込んでいる」と書き出すことで、「ミスをした」という事実と、「落ち込んでいる」という感情の間に、心の距離が生まれます。
この距離が、冷静さを取り戻すための大切なスペースになるのです。
理由3:自分の機嫌を「自分で」取れるようになる
感情のパターンがわかり、事実と感情を切り離せるようになると、次の一手が見えてきます。
「日曜の夜は気分が落ち込みがちだから、大好きなバスソルトを入れてお風呂に入ろう」
「空腹でイライラする前に、バッグに一口サイズのチョコを忍ばせておこう」
このように、自分の心の天気が崩れそうになる前に、先回りして対策を打てるようになります。
これこそが、「自分の機嫌を自分で取る」ということ。
他人に機嫌を取ってもらうのを待つのではなく、自分自身が最高の味方になることができるのです。
誰でも簡単!「感情ログ」の始め方【3ステップ】
ここからは、誰でも、今日からすぐに始められる具体的な3つのステップをご紹介します。
大切なのは、難しく考えすぎず、ゲーム感覚で楽しんでみることです。
ステップ1:【準備】お気に入りのノートかアプリを用意する
まず、あなたの「心の天気図」を描くための、心地よい場所を用意しましょう。
ノート派のあなたへ
手帳や日記帳、あるいはシンプルな大学ノートでも構いません。
ページを開くたびに、少しだけ気分が上がるような、お気に入りの一冊とペンを見つけるのが、続けるための大切なコツです。
アプリ派のあなたへ
「感情記録」「気分ログ」などで検索すると、たくさんのアプリが見つかります。
スタンプで気分を選べたり、グラフで感情の推移を見られたりするものも便利です。
いくつか試してみて、直感的に「使いやすい!」と感じるものを選びましょう。
ステップ2:【記録】1日3回、今の「心の天気」をメモする
場所が決まったら、いよいよ記録のスタートです。
まずは習慣にするために、記録するタイミングを決めましょう。
「朝起きた時」「お昼休み」「寝る前」など、1日3回がおすすめです。
記録する項目は、たったの4つです。
【感情ログ・4つの記録項目】
- 日時
記録した日付と時間- 心の天気(感情)
今の気分を天気で表現(快晴☀️・晴れ🌤️・曇り☁️・雨☂️・嵐⛈️など)。
あるいは、「嬉しい」「イライラ」といった言葉や、10段階の気分スコアでもOK。- きっかけ(出来事)
その感情が生まれた直前の出来事や考えていたこと。
(例:「上司に褒められた」「SNSを見て落ち込んだ」「特に何もない」)- 体の感覚
感情と体は繋がっています。今の体の状態をメモ。
(例:「胸が温かい」「肩が重い」「お腹がスッキリしない」)
【記録例】
10/15
13:00
☂️ 雨
ランチの約束をドタキャンされた
胸がモヤモヤする
11/12
22:00
☀️ 快晴
友人からの温かいLINE
肩の力が抜けた
ステップ3:【色分け】感情を「色」で可視化する
ステップ2だけでも十分効果はありますが、
さらに感情のパターンを「見える化」するために、
「色分け」を取り入れてみましょう。
これは特にノート派の方におすすめです。
あらかじめ、感情ごとに色を決めておきます。
- ポジティブな感情
(嬉しい、楽しい、ワクワク)
:暖色系(❤️ピンク、🧡オレンジなど) - ネガティブな感情
(悲しい、不安、イライラ)
:寒色系(💙青、💜紫など) - ニュートラルな感情
(穏やか、普通)
:緑や茶色など(💚)
記録した「心の天気」の欄を、対応する色でマーキングするだけ。
たったこれだけで、1週間、1ヶ月とログが溜まった時に、自分の心の天気の傾向が一目瞭然になります。
「感情ログ」を無理なく続けるための、たった1つの約束
最後に、「三日坊主」で終わらせないための、最も大切な心構えをお伝えします。
『どんな感情もジャッジせず、
ただ「そう感じているんだね」と受け止める』こと。
ログをつけていると、「またイライラしちゃった…」「どうして私はこんなに不安なんだろう」と、ネガティブな感情を抱いた自分を責めてしまうことがあるかもしれません。
しかし、感情に「良い」「悪い」はありません。
怒りも、悲しみも、不安も、すべてがあなたに何かを伝えようとしている大切なサインです。
感情ログは、自分を裁くための記録簿ではなく、ありのままの自分を受け止めるための練習帳。
大好きな親友の話を聞いてあげるように、あなた自身の心に、優しく寄り添ってあげてください。「書けない日」があっても、もちろんOKです。
まとめ:あなたの心は、あなたに理解されたがっている
今回は、感情の波に飲まれないための具体的なツールとして、「感情ログ」のつけ方をご紹介しました。
自分の感情を「可視化」することで、私たちは初めて、その正体を知り、パターンを理解し、対策を立てることができます。
それは、まるで自分だけの「心の取り扱い説明書」を手に入れるようなもの。
感情ログは、あなたを縛るためのルールではありません。
あなたを、あなた自身の感情から自由にするための翼です。
今日から、あなたの「心の天気」を、優しく見つめてみませんか?
その小さな記録の積み重ねが、穏やかでブレない自分を育てる、何よりの栄養になるはずです。
【連載】自分の「機嫌」の取り方レッスン
▶︎ 次回予告:そのネガティブ感情、どう手放す?
さて、今回の記事で、自分の感情を客観的に記録し、パターンを把握する方法がわかりました。
では、記録して見えてきた「イライラ」や「不安」といった感情には、具体的にどう対処すれば良いのでしょうか?
次回の第3回【手放す】では、ネガティブな感情に気づいた時に、心をデトックスするための「感情ジャーナリング」について詳しくお伝えします。
ぜひ、次回の更新も楽しみにお待ちください。
【全4回】もう感情の波に飲まれない!自分の「機嫌」の取り方レッスン
- 第1回:【原因を知る】 なぜか「心がザワつく」あなたへ。内観で不安の根本原因を探る方法
- 第2回:【可視化する】 感情の波に飲まれない!心の天気予報「感情ログ」のつけ方 (←イマココ)
- 第3回:【手放す】 感情のデトックス!ストレスを洗い流す「感情ジャーナリング」のすすめ
- 第4回:【変換する】 心が軽くなる!自己対話でネガティブな感情をポジティブに変える方法
もっと深く、あなたの「直感」と繋がりたいあなたへ
「感情ログ」は、あなたの「心の声=直感」をキャッチする精度を、格段に上げてくれるツールです。
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