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他人の機嫌に振り回されて疲れる…。自分を守る「心の境界線」を引いて、穏やかな毎日を取り戻す方法

心の余白とセルフケア
この記事は約8分で読めます。

前回の記事では、
優しい「NO」を伝えるための具体的な練習をしました。

もしかしたら、
あなたは小さな頼まれごとを一つ、断ることができたかもしれません。

 

しかし、
いざ「NO」と伝えた後、
あなたの心は穏やかでいられたでしょうか?

「あんなふうに言って、相手はどう思っただろう…」
「空気が悪くなっていないかな…」
「わがままな人だと思われたかもしれない…」

相手の表情や、その後のちょっとした態度が気になって、
結局、前よりもっと疲れてしまった…。

そんな経験をした方もいるかもしれません。

そう、私たちの心を本当に縛っているのは、
「断る」という行動そのものよりも、
「相手がどう思うか」を気にしすぎてしまう、長年の思考のクセなのです。

今回の第3回では、

その「人の顔色をうかがう」というクセを手放し、
穏やかで揺るぎない自分軸を育てるための
心の境界線(バウンダリー)」の引き方

について、詳しくお伝えしていきます。

この記事を読み終える頃には、
あなたは他人の感情という「天気」に振り回されることなく、
自分自身の心の中に、
いつも「快晴」の空を保つための、
具体的なお守りを手にしているはずです。

なぜ私たちは、他人の“心の天気”まで背負ってしまうのか?

  • 相手がイライラしていると、自分が何か悪いことをしたような気になったり。
  • 相手が悲しんでいると、それを自分の責任のように感じてしまったり。

なぜ私たちは、自分のものでもない感情まで、自分のリュックサックにパンパンに詰め込んでしまうのでしょうか。

根本原因①:「相手の機嫌」と「自分の価値」を、無意識に結びつけているから

その根本には、「相手がごきげんでいてくれること」=「自分の価値が認められている証拠」という、無意識の思い込みがあります。

  • 「相手を笑顔にできれば、私は受け入れられる」
  • 「相手をがっかりさせたら、私はダメな人間だ」

このように、自分の価値を「相手の機嫌」という、世界で最も不安定なものに委ねているため、常に相手の顔色をチェックし、機嫌を損ねないようにと心をすり減らしてしまうのです。

 

根本原因②:境界線が曖昧で、感情の「もらい事故」に遭っているから

第1回でお話しした「バウンダリー(境界線)」が曖昧だと、他人の感情がズカズカとあなたの心の中に侵入してきます。

それはまるで、隣の車線を走る車が急にスリップして、あなたの車線に飛び込んでくるようなもの。

それが、感情の「もらい事故」です。

相手が抱えているイライラや不安は、本来、相手自身が対処すべき課題です。

しかし、境界線がなければ、
あなたはそれを自分の問題として真正面から受け止めてしまい、
心に大きなダメージを負ってしまうのです。

 

心の平穏を守る。自分軸を育てる「バウンダリー」3つの実践法

では、どうすれば感情のもらい事故を防ぎ、
自分の心の平穏を守るための、
しなやかなバウンダリーを引くことができるのでしょうか。

ここからは、そのための具体的な3つのステップをご紹介します。

ステップ1:【課題の分離】「それは、誰の問題?」と心の中で問いかける

人の顔色をうかがいそうになった時、まず最初に行うべき最も重要なステップが、心理学者アドラーも提唱する「課題の分離」です。

これは、「この問題は、本来、誰が責任を持つべき課題なのか?」と冷静に線引きをすることです。

 

【実践例】上司が、朝からピリピリしていて機嫌が悪い時…

❌ 境界線がない状態(もらい事故)

「私が何かミスをしたのかな…」
「どうしよう、話しかけづらい…雰囲気最悪…」
と、上司の機嫌を自分の問題として捉え、一日中不安で心が休まらない。

✅ 境界線を引くための“心のつぶやき”
  • (待って、落ち着いて。)今、機嫌が悪いのは誰?→ 上司
  • その原因は?→ 私にはわからない。
  • (家庭の事情かも、体調が悪いのかも) だとしたら、その機嫌を直す責任は誰にある? → 上司自身

これは、私ではなく、上司の課題だ

🌿 境界線を引いた後の思考

「上司は何か大変なことがあるのかもしれないな。私にできることは、自分の課題である『仕事をきちんとこなすこと』だけだ」と、
相手の課題と自分の課題を切り離し、心の平穏を保つ

 

お守りの言葉:『相手の機嫌は、相手のもの。私の機嫌は、私のもの』

この当たり前の事実を、お守りのように心の中で唱えるだけで、あなたは多くの不要な悩みから解放されます。

 

ステップ2:【I(アイ)メッセージ】「私」を主語にして、気持ちを伝える練習

人の顔色をうかがう人は、つい相手を主語にした「YOUメッセージ」で話してしまいがちです。

それは時に、相手を責めているように聞こえてしまいます。

そうではなく、「私」を主語にした「I(アイ)メッセージ」で、自分の気持ちを伝える練習をしてみましょう。

Iメッセージは、「私は、こう感じている」と、自分の感情の責任を自分で引き受ける、成熟したコミュニケーション方法です。

❌ YOUメッセージ(相手が主語) ✅ Iメッセージ(私が主語)
例1:
急な仕事を頼まれた時
あなたはいつも急に言うから、困ります」 私は、急に言われると、少し焦ってしまいます」
例2:
話を聞いてほしい時
あなたは全然、私の話を聞いてくれない!」 私は、話を聞いてもらえなくて、少し寂しいな」
例3:
意見を言う時
普通はこうすべきです」「みんなこう言ってます」 私は、こう思います」「私は、こう感じます」

 

ステップ3:【自分優先】「私の好き」と「心地よさ」を選ぶ小さな練習

バウンダリーを育てる上で、最終的に最も大切なのは、「他人がどう思うか」よりも「自分がどう感じるか」を、判断基準の最上位に置くと、心に決めることです。

そのために、日々の生活の中で、自分の「好き」や「心地よさ」を優先する小さな成功体験を、意図的に積み重ねていきましょう。

 

  • 周りが「あのお店が流行っている」と言っても、自分が「心地よい」と感じる、いつもの喫茶店を選ぶ。
  • 「これを着るべき」というルールではなく、自分が「好き」だと心から思える服を着て、気分を上げる。
  • 飲み会で、無理に会話を盛り上げようとするのをやめて、自分が「心地よい」と感じるペースで、聞くことに徹してみる。

 

この小さな「自分優先」の練習が、あなたの自己肯定感を育み、「他人の評価がなくても、私は私のままで大丈夫だ」という、揺るぎない確信に繋がっていきます。

 

まとめ:あなたの心の“天気”は、あなたが決めていい

今回は、人の顔色をうかがうクセを手放し、穏やかな自分軸を育てるための、具体的な3つのステップについてお伝えしました。

  1. それは誰の課題?」と問い、相手の感情と自分の間に線を引く(課題の分離)
  2. 私は」を主語に、自分の気持ちに責任を持つ(Iメッセージ)
  3. 私はどうしたい?」を、日々の選択の最優先にする(自分優先)

人の顔色をうかがうのをやめることは、決して、冷たい人間になることではありません。

それは、あなたが、あなた自身の「心の機嫌」の責任を、自分で引き受けるという、とても誠実で、成熟した生き方です。

あなたが自分の機嫌を自分で取れるようになると、不思議なことに、周りの人の機嫌にも、必要以上に振り回されなくなります。

そして、お互いが自立し、尊重し合える、本当に心地よい人間関係だけが、あなたの周りに残っていくのです。

あなたは、誰かの顔色をうかがうために、この世に生まれてきたのではありません。

あなただけの感情を味わい、あなただけの人生を輝かせるために、生まれてきたのですから。

 

【次回予告】いよいよ最終回!「いい人」卒業後の、新しい人間関係の築き方

さて、これであなたは、自分を守るための基本的な考え方と、具体的なコミュニケーション術を学びました。

「いい人」の鎧を脱ぎ捨て、自分軸で歩き始める準備は、もう整っています。

では、その先には、どんな世界が待っているのでしょうか?

いよいよ次回は、このシリーズの最終回です。

第4回【新しい関係を築く】は、
バウンダリーを引いた上で、
周りの人と、どうすれば「健全で、温かい人間関係」を再構築していけるのか
具体的なケーススタディを交えてお伝えします。

「いい人」からの完全卒業。その先の、新しい世界の扉を一緒に開きましょう。ぜひ、楽しみにお待ちください。

 

【全4回】もう「いい人」でいなくても大丈夫。自分を守るためのバウンダリー(境界線)入門 🛡️

 

 

 

 

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