前回のトレーニングでは、「できたこと探し」や「自分を褒める」ことで、ガチガチに固まった心を少しほぐすウォームアップを行いました。
第1回:自己肯定感が低いあなたへ。「どうせ私なんて」を卒業する3つの習慣
ほんの少しでも、自分に優しくなれた感覚はありましたか?
それでも、ふとした瞬間に、
「どうして私ばっかり、こんな目に遭うんだろう」
「どうせ誰も、私のことなんて分かってくれない」
そんな風に、世界で一番孤独な悲劇のヒロインになったような気持ちに襲われることはありませんか?
それは、あなたの心が「被害者意識」という重たいコートを、無意識に着込んでしまっているサインかもしれません。
でも、安心してください。
それはあなたの性格が悪いわけではなく、これまで頑張ってきたあなたの心が、傷つかないようにと覚えた一種の「心のクセ」なのです。
今回は、
をお伝えします。
あなたは悪くない。「被害者意識」が生まれる本当の理由
被害者意識は、多くの場合、あなたの心がこれ以上傷つかないようにと必死で自分を守ろうとする防衛本能から生まれます。
「私は悪くない。悪いのは環境や周りのせいだ」と考えれば、自分の至らなさと向き合う痛みを避けられます。
「どうせやっても無駄だ」と最初から諦めれば、挑戦して失敗する恐怖を味わわずに済みます。
過去に理不尽な思いをしたり、たくさん我慢を重ねてきたりした人ほど、この心のクセはつきやすいものです。あなたの心が、無意識に「被害者」という安全地帯に避難しているのです。
もし、以下のサインに心当たりがあれば、まずは「私、今このコートを着ているな」と気づくことから始めましょう。
- 過去の失敗をいつまでも引きずってしまう
- 他人の成功を素直に喜べない
- つい誰かや何かのせいにしてしまう
- 「でも…」「だって…」が口癖になっている
人生の脚本を書き換える、3つの心の転換スイッチ
その心のクセに気づけたら、次は人生の脚本を自分で書き換えていく番です。
これから紹介する3つのスイッチを、少しずつ意識してみてください。
スイッチ①:「物語の主人公」から「カメラマン」の視点へ
私たちは、何か出来事が起こると、すぐに感情という嵐のど真ん中にいる「主人公」になってしまいます。
「上司に怒られた!なんて理不尽なんだ!もう最悪だ!」
そんな時こそ、少し引いた視点から、その様子を客観的に撮影する「カメラマン」になってみましょう。
ジャーナリングで心の嵐を客観視する
この「カメラマン」になる練習には、ジャーナリング(書くこと)が非常に有効です。
ノートを開いて、カメラマンとして自分にインタビューするように、以下の質問に答えてみてください。
- 「今日、主人公に何が起こりましたか?」(事実)
- 「その時、主人公はどう感じていましたか?」(感情)
- 「なぜ、そのように感じたのでしょうか?」(深掘り)
- 「このシーンを映画にしたら、どんなタイトルをつけますか?」(客観視)
感情を紙に書き出すことで、頭の中が驚くほど整理され、「ああ、私は今こんな気持ちだったんだな」と、嵐の中からスッと抜け出すことができます。
スイッチ②:「〜させられた」から「私が〜することにした」へ
被害者意識のコートを着ている時、私たちは「〜させられた」という受け身の言葉を使いがちです。
- 「残業させられた」
- 「あの人に傷つけられた」
この言葉を使っている限り、あなたは人生の助手席に座っている状態。
しかし、よく見ると、その行動にはあなた自身の選択が隠されています。
この言葉を、「私が〜することにした」という主体的で力強い言葉に変換してみましょう。
人生の主導権を取り戻す言葉の魔法
これは、自分を責めるための練習ではありません。
自分の人生のハンドルは、ちゃんと自分が握っているのだと気づくための練習です。
- 「残業させられた」
→「(大変だけど)今日はこの仕事を終わらせることにした」 - 「あの人に傷つけられた」
→「(悲しいけど)あの人の言葉を一旦受け止めることにした」
言葉が変われば、意識が変わります。
意識が変われば、見える現実が変わります。
「私は無力な被害者ではない。自分で選べるんだ」という感覚が、あなたの心に力を与えてくれます。
スイッチ③:「できない理由」から「それでも、やる理由」へ
「私には才能がないから、挑戦できない」
「時間がないから、始められない」
「〜だから仕方ない」と、できない理由を探して諦めてしまうのも、被害者意識のクセの一つです。
今日から、その視点を180度変えてみましょう。
「〜にもかかわらず、どうしたい?」と自分に問いかけるのです。
- 才能がないにもかかわらず、挑戦した先になにが見えるだろう?
- 時間がないにもかかわらず、1日15分だけなら何ができるだろう?
この問いが、あなたを「できない理由」の沼から引き上げ、未来への一歩を踏み出す勇気をくれます。
失敗を「経験値」に変える思考法
「〜にもかかわらず」という思考は、失敗を「終わり」ではなく「学びの機会」に変えてくれます。
失敗は、「どうせ私なんて…」と落ち込むための材料ではありません。
RPGゲームの「経験値」のように、あなたをレベルアップさせてくれる貴重なデータなのです。
- 失敗を「事実」として受け止める
「今回はこの方法ではうまくいかなかったな」 - 「経験値」として次に活かす
「なるほど、じゃあ次はこうしてみよう!」
この思考の転換が、あなたの人生を前向きな冒険へと変えてくれます。
まとめ:あなたは、あなたの人生の「創造者」
被害者意識から抜け出すための、3つの心の転換スイッチをご紹介しました。
- 「主人公」から「カメラマン」の視点へ
- 「〜させられた」から「私が〜することにした」へ
- 「できない理由」から「それでも、やる理由」へ
どれも最初は、少し難しく感じるかもしれません。
でも、焦らなくて大丈夫。
あなたが「もう、誰かのせいで不幸になる物語は終わりにしよう」と決めた瞬間から、新しい物語は始まっています。
あなたは、誰かの被害者ではありません。
あなたは、あなたの人生を、あなたの手で創り上げていく「創造者」なのです。
【次回予告】
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
連載第3回では、さらに一歩進んで、自分を認め、満たすための具体的なアクション「自分を最高に褒める技術」についてお話しします。
▶第3回:もう「私なんて…」は言わない。自己否定グセを直す3つの優しいトレーニング
お楽しみに!