「患者さんの苦しみを、自分のことのように感じてしまう」
「あの患者さんのことが心配で、仕事が終わっても頭から離れない」
看護師として、患者さんに寄り添い、共感することは大切なスキルです。
しかし、その共感力が強すぎるあまり、患者さんの悩みや苦しみを自分のことのように抱え込み、心が疲弊していませんか?
それは、あなたの心が「共感疲労」を起こしているサインかもしれません。
今回は、
を解説します。
なぜ患者さんの悩みを抱え込んでしまうのか?
患者さんの悩みを抱え込んでしまうのは、あなたの優しさや責任感の強さからです。
- 責任感の強さ
「この患者さんのことをなんとかしてあげなければ」という強い責任感が、あなたを休ませてくれません。 - 共感力の高さ
患者さんの感情を自分のことのように感じ取る能力が高いため、相手の苦しみがダイレクトに心に届いてしまいます。 - 役割の混同
「看護師として患者さんの全てを支えなければ」という使命感が、プライベートとの境界線を曖昧にしてしまいます。
しかし、患者さんの悩みをすべて引き受けてしまうと、あなたの心が空っぽになり、結果的に良いケアを続けることが難しくなってしまいます。
心のバリアを引くための3つのステップ
心のバリアは、患者さんを突き放すものではありません。
あなたが長く、良い看護を続けるために、自分自身を守るための大切なスキルです。
1、「役割」と「個人」の境界線を引く
まず、仕事をしている時の「看護師としての自分」と、仕事から離れた「個人としての自分」を明確に分けましょう。
- 仕事中
「看護師として、最善のケアを提供しよう」 - 仕事終わり
「今は看護師ではなく、一人の私に戻ろう」
家に帰ったら、仕事のことは考えないように努めましょう。
ユニフォームを脱ぐ時に、心も「オフモード」に切り替えるイメージです。
この切り替えを意識することで、プライベートな時間に仕事の悩みを持ち込まずに済みます。
2.「共感」と「同情」を区別する
「共感」は、相手の気持ちを理解すること。
「同情」は、相手の感情に飲み込まれ、一緒になって苦しむことです。
- 共感の例
「〇〇さんは、今つらい気持ちなんだな、と理解する。」 - 同情の例
「〇〇さんの苦しみが、自分のことのように悲しい。」
あなたは、患者さんのつらさに寄り添うことはできますが、そのつらさを引き受ける必要はありません。
患者さんの感情に飲み込まれそうになったら、「これは患者さんの感情。私は寄り添うことしかできない」と心の中で繰り返してみましょう。
3.「心のケア」を習慣化する
仕事で受けた心の負担を、その日のうちにリセットする習慣をつけましょう。
- 仕事帰り
好きな音楽を聴きながら帰る。 - 家に着いたら
温かい飲み物を飲んだり、アロマを焚いたりしてリラックスする時間を作る。 - 休日に
自然の中を散歩したり、友人と会って話したりする。
どんなに小さなことでも構いません。
心が疲れたと感じた時に、すぐに自分を癒せる「心の安全地帯」を用意しておくことが重要です。
まとめ
患者さんの悩みを抱えすぎることは、あなたの優しさの証です。
しかし、自分自身の心を守ることを後回しにしないでください。
「共感」と「同情」を区別し、
「心のケア」を習慣化する。
この3つのステップを実践することで、あなたは患者さんへの深い思いやりを持ち続けながら、自分自身の心も守ることができます。